奥さんと言われてムカついた日
10年近く前、37歳の頃、部下(♂)の結婚式に出席した。
北陸のとある都市だった。
大好きな着物で参加。
新郎新婦を含め、全員で記念撮影があった。ひな壇が五段くらいあっただろうか、私は上から二段目の端近に立った。
式場付きのカメラマンさん(60歳手前くらいの男性)が、段取り良く立ち位置の指示をしていた。
大体の位置が決まったころ、
「奥さん!そこの着物の奥さん、もう少し右にお願いしまーす」とカメラマンさん。
誰のことかな、とキョロキョロしていると、
カメラマンさんと目があった。
え?わたし?わたくしのこと??
「奥さん、もう少し右で!」カメラマンさんは明らかにわたしの目を見て言った。
・・・・
生まれて初めて奥さんと言われた。
しかもわたしはまだ奥さんじゃない。
今後とも、奥さんになる可能性は低い。
この人は、わたしが喉から手が出るほど欲しい称号を、
わたしが妙齢というだけで、未既婚の確認もせず、当たり前のように口にした。
「わたし、奥さんじゃありませんから動きません」
自分が思うより先に声に出ていた。
カメラマンさんには聞こえなかったようだ。
「奥さん、そちらの奥さんでーす!」
「だから、奥さんじゃありません!」
カメラマンさんにも聞こえたようだが、意味がわからない、といった顔をされた。
一段下にいた社内の親友に
「いいから!今日はおめでたい席なんだから、我慢して動く!」
と言われハッと我に返る。
そ、そうだよね。おめでたい席なんだから、、なにやってんだろ私、、
右に動き、「ありがとうございます、そうですそのあたりです奥さん!」と言われシャッター。
東京ではすでにそのころから、女性に奥さんと言うのはタブーという雰囲気があった。だから一度もそんな風に言われたことはなかった。
不意を突かれ傷ついて、自分でも信じられないほど子供じみた態度に出てしまった。
田舎だから余計に仕方なかった。今ならわかる。
今はもっと田舎に住んでいる。ここでは女性は25を過ぎると大抵「お母さん」だ。
37歳で「奥さん」と言われたのは仕方ないことだし、おめでたい席で大人げない態度を取った私のほうが10対0で悪い。と頭ではわかっている。
でも、、
今でもムカついている。(ダメねえ、、^^;)
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